こんにちは、ファイナンシャルプランナーの綾崎かなめ(@kaname_aya)です。
3月15日に政府・与党の幹部が岸田文雄総理に、既に10万円の給付を受けた住民税非課税世帯を除く年金受給者に向けて5,000円の臨時給付を支給する案を申し入れた、と報道され話題に……。
報道を受けてネット上では、年金世帯より現役世帯に支給するべきと訴える声や、逆に5,000円もらったところで生活には足りないというような声もありました。
今回は年金は本当に足りていないのかについての問題を実際のデータを参考に見ていこうと思います。まだ現役で働いてる世代の人にも、今後にゆとりのある老後生活を送るための指針にもなる話ですのでチェックしてみてください。
■年金“だけ”の生活は苦しい
住んでいるのが借家か持ち家か。また世帯の年金の受給状況などにもよるので、全員が同じ条件でもないのですが、結論から言ってしまうと“年金収入だけ”で生活していくのは苦しい状況だといえます。
ただし年金収入だけの生活が厳しいというのは新型コロナウイルスが流行する前から言われていた話です。2019年には金融庁からの報告書が大まかにですが「老後生活のためには2,000万円の貯金を準備しないと足りない」という内容で話題にもなりました。
そして「年金収入は新型コロナウイルスの影響を受けていない」という話にも疑問が残ります。
また原因は新型コロナウイルスによる影響だけではないものの昨年から2年連続で今年も4月からの支給額が0.4%減らされてしまうことも決定しています。来年以降どのように推移するかは分かりませんが、やはり年金だけを当てにした生活は難しくなっていくと言わざるを得ません。
■年金生活者の生活資金の不足額は?
具体的に比較的に多い70代を例にとって生活資金の不足額を見ていきましょう。厚生労働省が毎年12月に昨年の状況を発表している「厚生年金保険・国民年金事業の概況」の令和2年(2020年)版を参考に年金の平均受給額を見ていくと以下のようになります。
タイトル | 厚生年金保険(第一号)の平均受給額 | 国民年金の平均受給額 |
70〜74歳 | 145,705円 | 57,010円 |
75〜79歳 | 150,569円 | 55,880円 |
実際の加入状況にもよりますが、夫婦で共働きならば約30万円、片方が専業主婦(主夫)だった場合は約20万になります。
また公益財団法人・生命保険文化センターが発表している令和元年版「生活保障に関する調査」を見てみると老後の生活費の平均は22.1万円、ゆとりのある生活を送りたいのならば平均14万の上乗せが必要との回答が多かったようです。
このデータを参考に計算してみると、どちらか専業の片働き家庭の場合は普通の生活でも2万円の不足。旅行に行ったりなど、ゆとりのある生活を送ろうと思うと16万円の不足になってしまうので、老後の貯蓄や年金以外の収入がない限りは倹約した生活を送る必要がありそうです。
■現役世代は老後に備えを
結論が出ないので「年金受給者に5,000円」が必要かの議論は置いておいて、公的年金を当てにした生活は少しだけですが厳しさが見えます。ゼロになる可能性はありえないものの、支給額が引き続き減らされてしまう可能性もあり「年金があるから安心」と頼りきるのは難しそうです。
しかし厚生労働省のデータはあくまでも公的年金だけなので、厚生年金基金などに加入していれば最低限の生活は年金収入だけでもまかなえる可能性もあります。年金だけだと足りないという言葉を聞いて過度に不安に思ってしまう必要はありません。
最後に個人的な感想ですが、どっちかというと私は「備えあれば憂いなし」という考えです。決して必須ではありませんが、できそうな人はつみたてNISAやiDeCoなどを利用した資産形成に挑戦してはどうでしょうか。
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