こんにちは、ファイナンシャルプランナーの綾崎かなめ(@kaname_aya)です。
漫画『東京ミュウミュウ』『スーパードールリカちゃん』などで知られる漫画家の征海美亜(いくみ・みあ)さんが42歳という若さですが、くも膜下出血により7日になくなっていたことが漫画雑紙『なかよし』の公式サイトにより明らかになり、一時はツイッターでも日本のトレンドで2位になるなど騒然としていました。
話題として征海さんを例にあげましたが、昨日まで健康だったはずの人でも病気や事故などで突然に亡くなってしまう可能性はゼロではありません。あまり意識している人は多くないかもしれませんが自分が急に亡くなってしまったら……と言うときのことは頭の中に入れておく必要がありそうです。
そこで今回は誰かが亡くなってしまったときにどれぐらいのお金が必要なのかについて考えてみようと思います。
■保険不要論は正しいのか
昨今は情報の多様化などから、インフルエンサーなどで備えてあれば「生命保険は不要」と訴える人も増えています。あくまでも“資金に備え”があればの話なのですが、そう伝えているはずでも誤解されて広がってしまうことの多い問題です。
個人的には生命保険が必要かどうかはケースバイケースであり、自分が本当に保険が不要かの判断については注意が必要だと訴えていくつもりです。そうは言うものの、ケースバイケースで放置してしまっては悩みも解決しませんので、ここからは具体的に深掘りしていこうと思います。
▼葬儀関連費用はどれぐらい?
誰かが亡くなってしまったときに考えなくてはいけないのが、通夜や告別式などを執り行う際に必要な葬儀関連費用です。その費用は規模次第ですが、株式会社鎌倉新書が「お葬式に関する全国調査(2020年)」を発表し、葬儀費用の平均値を調査して報告しています。
それによれば葬儀に必要な費用は一般葬で約184万円とされています。内訳は「葬儀会館費」「棺代」「火葬場への運搬費」といった直接的な葬儀の費用が約119万円で、他に飲食費31万円に返礼品33万円となっています。もっともコロナ禍で大規模な葬式が難しくなっていることを考えると家族葬なら多少は安くなるでしょう。
また葬儀そのものに直接関わってくる費用は相続税の計算時に控除できますが、それ以外の位牌やお墓の購入費用または香典返しにかかったお金などは控除できません。
そしてお墓の費用ですが同じく鎌倉新書の調査した「お墓の消費者全国実態調査(2021年)」では一般墓の費用は169万円。葬式の費用とお墓の費用だけで353万円ものお金がかかることが分かります。
▼子供がいる場合の教育資金
葬儀費用やお墓の代金に加えて、もし子持ちであれば成長するまでの教育資金も蓄えておく必要があります。文部科学省の発表した平成30年度「子供の学習費調査」を参照していきましょう。
公立 | 私立 | |
幼稚園 | 223,647円 | 527,916円 |
小学校 | 321,281円 | 1,598,691円 |
中学校 | 488,397円 | 1,406,433円 |
高等学校(全日制) | 457,380円 | 969,911円 |
合計 | 1,490,705円 | 4,502,951円 |
高校まで通うとして公立だけで済ませるなら約149万円、私立に通ってしまうと3倍ほどに跳ね上がります。大学に通わせようとすると、これに加えてさらに4年間で500万円から1,300円ほどの諸経費がかかってきますので、より大きな貯蓄資金が必要になってきます。
子のある配偶者と子(18歳になった年度末まで)は遺族基礎年金の対象に、厚生年金に加入していれば遺族厚生年金の支給も得られます。ただし残された側の年収にもよりますが基本支給額780,100円+子供の人数加算の遺族基礎年金や遺族厚生年金で子供の学習費用まで補おうとするには、かなり無理があると言えるでしょう。
■もしもの備えは重要
亡くなってしまったときに備えておいたほうが良いお金はいくらぐらいなのか。とりあえず葬儀資金やお墓の代金、また子供の教育資金について見ていきました。このほかに人によっては団体信用保険に入っていなければ住宅ローンやマイカーローンといったお金が必要になってくる可能性があります。
ここから言えるのは言われることの多い地震などの災害と同じように、もしも自分が亡くなってしまったときのためのお金の備えも重要になってくると言うことです。
既にFIRE(経済的自立と早期リタイア)をしていて働かなくても、もしくは少しだけ歯楽だけで資産収入だけで生活費がまかなえるような人なら保険は不要と言っても間違いではないかもしれません。
それでも個人的な感想としては資産が潤沢ではない多くの人の場合、掛け捨ての生命保険でも良いので備えが必要なんじゃないかと思ってしまいます。
自分も含めて家族の誰かが亡くなってしまったときのことを考えるのは不謹慎に思われてしまうかもしれませんが、そうなっていないからこそ最悪の場合に備えてあらかじめ相談しておくのは必要なのではないでしょうか。
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